いまこそマスクの効果を検証し必要な人と場面を示すべき
感染症法の2類相当扱いの新型コロナウイルス感染症を季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げるという。それに伴い、現在「屋外は原則着用不要、屋内は一部を除いて着用推奨」のマスクは、「今後は個人の判断に任せる方向で、緩和時期を調整する」という。しかし、これはおかしいのではないか。マスクは誰に、どの場面で必要で、どう使うべきか、との検証と判断は政府がやるべき仕事ではないか。それをスルーすることはマスク着用の科学的根拠はなかった、との誤ったメッセージを発することにならないのか? 公衆衛生に詳しい岩室紳也医師が言う。
「私は新型コロナ予防にマスクがまったく役立たないとは思いません。一般的に若くて健康な人は感染していれば無症状でもウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)やエアロゾルを排出していることを認識すべきだと思います。高齢者の重症化率や致死率が季節性インフルエンザと変わらなくなったいまこそ、その認識のもとマスクの意味を再検証すべきです。それも完璧なマスク装着法の周知徹底は無理だという視点で。マスクは感染している人から飛び出す飛沫を防ぐ効果はありますが、エアロゾルの排出や吸入を阻止できません。だからこそマスクが必要な人や場面、使い方も変わるべきだと思います。それを示さずに、一律に『マスク着用は個人の判断』というのは乱暴で、無責任ではないでしょうか」