仕事の締め切りは余裕をもって設定してはいけない…ストッパーが必要
①2倍の時間を与える場合②最小限の時間を与える場合③自分のペースで行う場合④できるだけ早く遂行するように指示する場合──。
その結果、長い時間を与えると、ゆっくりと作業することが確認されたといいます。①のように倍の時間を与えるという配慮をしても、被験者は「作業時間に余裕ができた」と解釈し、時間をたっぷり使ってしまう。多くの時間を与えたとしても、生産性が向上するとは限らないというわけです。むしろ、時間をすべて使うために合間合間でサボって、与えられた仕事が時間ぴったりに終わるように、無意識とも本能的ともとらえられる「調整」をしてしまう……。人間はキャパシティーを事前に示されると、それに合わせてしまう生き物なのです。あれだけ余裕があったスケジュールにもかかわらず、前倒しで率先して行えないのは、人間の性分とも言えるんですね。
ということは、与えられた仕事の期限がある場合でも、自分で期日を設定し直すことなどで、先送りにするリスクを回避できやすくなります。また、目標を明確にすることで、仕事に対するモチベーションを上げることや、大きな仕事を小さなタスクに分割し、小刻みに仕事を進めるといったことも、効果的な手段となるはずです。与えられた期限に対して、自分なりのアレンジを加えないと、ぎりぎりまで時間に追われてしまうのです。