ベッド編(2)接地面積を小さくすればわずかな力で起こせる
「人間の胴体は平べったい形をしているので、あおむけに寝ているとベッドに接地する面積が広く摩擦が生じて身体介助をしづらくなります。スムーズに起き上がらせるためには、体をコンパクトな状態にして摩擦を減らす必要があるのです」
そう話すのは、力がいらない根津式介護技術を開発した根津良幸氏だ。
相手の両腕を胸の前で交差させ、膝を曲げてベッドとの接地面積を小さくすると、介護度が高くてもわずかな力で起き上がらせられるという。
介護度が高い相手を、背上げができる介護用ベッドから起こして座らせる介助法を紹介する。
①枕を取り除き、ベッドの背をできるだけ高く上げる。
②介助者は、相手の頭側から遠い方の膝をベッドにつき、親指、中指、薬指の3本で相手の両手首を取って体の前で交差させる。
③相手の膝の位置に移動し、先ほどと同側の膝を相手の膝の横でつき直し、ついた膝と同側の腕を手のひらを下に向けた状態で相手の膝下に深く差し込む(写真1)。