著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

コレステロールは「善玉」と「悪玉」のバランスが大事

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 このクスリは、肝臓でコレステロールが作られる際の酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを抑制することでコレステロールが作られないようにします。また、血液中のLDLコレステロールが肝臓に取り込まれるのを促進させることで、LDLコレステロールの値を下げる効果があります。動脈硬化で起こる狭心症、心筋梗塞脳梗塞などの予防にはLDLコレステロールを下げることが重要なので、スタチン系薬はとても大事なクスリです。

 スタチン系薬には「横紋筋融解症」という特徴的な副作用があります。その名の通り筋肉が溶けてしまう副作用で、初期症状として筋肉痛や脱力、尿の色が赤褐色になるなどがあります。ただ、発生頻度はかなり低いのでそこまで心配はいりません。スタチン系薬を服用し始めた頃に発生しやすいため、特にその時期に運動もしていないのにそういった症状が出た場合には、すぐに医師または薬剤師に相談しましょう。

 さて、ここまでの話の流れだと「LDLコレステロールが低ければいい」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、厳密にいうとそれは違います。HDLコレステロールとLDLコレステロールのバランスが大事なのです。生活習慣に気をつけることが大前提ですが、クスリが必要な場合も出てくるでしょう。ご自身の血管を守ってくれる大事なクスリなので、うまく付き合っていきましょう。

【連載】高齢者の正しいクスリとの付き合い方

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