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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

認知症でも独り暮らしでも在宅で最期まで問題なく過ごせる

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 その患者さんは、兄弟はすでに亡くなっており、甥や姪らとは連絡が取れない状態。生活保護を受けながら独居を余儀なくされている82歳の男性の方でした。

 過去に心筋梗塞を経験していたのでその治療で通院しており、脊柱管狭窄症も抱えていましたが、認知症のために内服薬の自己管理ができず、たびたび腰の痛さに耐えかねて夜中や早朝に救急車を呼ぶなどされていました。

 在宅医療は最初、週1回の訪問からスタート。その後、患者さんの状態に合わせて訪問回数を少しずつ増加していきましたが、患者さんの症状は悪化していき、ますます服薬がままならなくなっていきました。

 そのうち介護認定を申請し、訪問介護も追加。さらに訪問看護の回数を増やし、清潔保持のための体の清拭や排泄介助などを1日2回行ったり、内服管理と歩行訓練、状態観察を毎日1回実施することになりました。これにより事実上、訪問看護とヘルパーさんなどの人の目が1日に3回入ることになり、救急車を呼ぶことはなくなりました。

 時には訪問看護を医療保険で利用することも。日々変化していく患者さんの状況は、人が入る時にバイタルチェックを行って確認していきました。状態に応じて、点滴や服薬などで対処。約2カ月間、最期まで自宅で過ごされ、私たちの見守る中、旅立たれていきました。

 2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者となります。そうなると5人に1人が認知症になるといわれています。

 将来もしあなたが、あるいはあなたの大切な人が認知症になった時のために、在宅医療で看ることを選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

【連載】最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

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