在宅診療を受けるにはいくらかかるのか…すべて保険適用の医療行為
また、介護環境に苦しんでいるならば、介護の中心であるケアマネジャーと家族とが何度も会議をしながら、一時的にレスパイト入院をするとか、ショートステイを利用するとか、介護度を上げてヘルパーの回数を増やすなど、いろいろな形で介護環境を充実させて家族負担を取り除くことが必要だ。
「私たちの患者には、重症度が高くて寝たきりで身寄りがまったくない、という方々も少なくありません。医療や看護、介護がしっかり介入することで、ひとりで最後の命を自宅で過ごしたいと希望する方に寄り添って、生活に彩りをつける役割も私たちは担っています」
患者の身体的、精神的苦しみを在宅診療で緩和できなかったり、家族に介護負担がかかるのは、「在宅診療」制度の問題でなく、在宅で看取るまでの覚悟も持たず、体制を作る医師もない“なんちゃって在宅診療”のクリニックが跋扈しているからだと山中医師は言う。
「在宅診療への思いも技術もない医師が形式的に診察をし、困ったときは救急搬送というのは在宅診療の本当の役割を放棄してしまっています。だからこそ、『ちゃんとした在宅診療』を選ぶことで、本人の苦しみや痛み、そして家族の介護負担も取ってあげられることにつながるのです」