在宅診療を受けるにはいくらかかるのか…すべて保険適用の医療行為
介護用ベッドやポータブルトイレの導入、ショートステイの利用なども、患者のADL(日常生活を送るために最低限必要な動作)に合わせた介護保険を利用することで家族の負担感は病院通院よりも減らせるという。
「もちろん、介護保険にも収入に応じた上限があり、どのような経済環境や家庭環境の方でも費用負担を気にすることなく、十分な介護環境を迅速に整えることができます」
■苦しみを医療で和らげることが延命効果につながる
金銭面以外で多い不満や心配事は、「痛いとか苦しいとかを家で見るのがつらい」「自分で介護をし続ける自信がない」などだ。
「私もこれまでがんの末期の方々を1000人近く自宅でお看取りをしていますが、最後まで『苦しんで亡くなる』という人はほとんどいらっしゃいません。苦しみや痛みに対して『緩和』をすることが、在宅医師としての責任であり、役割です。それは、高度な医療の知識と技術に基づくものです。麻薬で寝かしつけるような単純なものではなく、苦しみを医療で和らげることにより、延命効果にもつながるのです」