健康寿命は経済力で決まる(1)低所得者は野菜や果物を食べず歯が悪い
肥満・喫煙・運動不足は、いずれも生活習慣病のリスク因子です。定期健診を受けていれば、早めに手を打つこともできますが、低所得層では健診の受診率が低いことも問題になっています。
国民健康・栄養調査によれば、低所得層の健診受診率は、男女とも60%に達していません。10人中4人以上が、自分の健康状態を認識していないことになります。
所得格差は病院の受診にも影響を与えています。経済的理由から病院受診を控える人がいることは、以前からわかっていましたが、具体的な数字は出ていませんでした。しかし、23年に国立成育医療研究センターから発表された調査によれば、所得が300万円未満の世帯では、それより所得が多い世帯と比べて、男性約1.3倍、女性約2.1倍も受診控えが多いそうです。
低所得層は給料がなかなか増えず、増えたとしても税金と社会保険料で吸い上げられ、しかも物価は上がる一方。八方塞がりのまま、所得格差と健康格差は拡大していくばかりです。 =つづく
(長浜バイオ大学メディカルバイオサイエンス学科教授・永田宏)