新型コロナ治療薬の希望の光 siRNAにかかる期待とハードル
「どの部分の21塩基を取り出せば最適なのかは現在も研究中ですが、そこまで時間はかからないだろうと予想されています。いまはスクリーニングの技術が進歩していて、ウイルス遺伝子のどこの部分がホットスポットなのか、ある程度予測がつくからです」
最大の課題は、siRNAをどうやって狙った細胞の中に到達させるかだという。
「これまでに研究されたり開発されているsiRNA核酸医薬品は病気の原因になっている遺伝子に狙いを定め、siRNAを到達させれば有効でした。しかし、今回はウイルスに感染している細胞を選び、さらに細胞の中までsiRNAを到達させなければなりません。そもそも細胞膜に包まれた細胞の中にsiRNAを到達させるのは難しく、実験では細胞膜を緩める試薬と混ぜたり、一時的に電気ショックをかけて細胞膜を緩める方法が行われています。こうした手段は実際の患者さんには使えませんからハードルは高いといえます」
新しい治療薬の登場は時間がかかりそうだが、いずれやってくるだろうコロナの再パンデミックに備える意味でも期待したい。