「上の血圧」と「下の血圧」の差が大きいのは何が問題なのか
一般的に「上の血圧」「下の血圧」と言いますが、これは最高血圧、最低血圧のことを指します。
最高血圧は、血液を送り出すときに心臓が収縮して、血管に強い圧力がかかっている状態の値です。収縮期血圧とも呼ばれています。
最低血圧は、逆に次に送り出す血液をためこむために心臓が拡張しているときの値です。拡張期血圧とも言います。
最高血圧と最低血圧の差を脈圧(みゃくあつ)と言います。脈圧が大きくなる原因は年齢です。加齢と共に動脈硬化といって血管が硬くなり、動脈の伸び縮みが悪くなるからです。
その他に脈圧が大きくなる原因としては、心臓弁膜症があります。
大動脈弁閉鎖不全症では心臓から拍出(心臓が拍動することにより、血液が送り出されること)された血液がまた心臓に戻ってまた拍出されるので、最高血圧が高く、最低血圧が低くなります。
また甲状腺機能亢進症でも脈圧は大きくなります。ホルモンが直接心筋の収縮能を増強させるため、最高血圧が上昇する一方で間接的には末梢血管の緊張度を下げるため、最低血圧が減少するからです。
ちなみに最高血圧の程度にもよりますが、脈圧は65㎜Hgを超えると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いとの報告もあります。心当たりのある人は一度かかりつけのお医者さんに診てもらうといいでしょう。
(弘邦医院・林雅之院長)