「国家の教育支配がすすむ」寺脇研著
2015年、安倍政権は教育委員会制度の改変をもくろんで新教育委員会制度を発足させた。自治体の首長の権限を増大させ、「教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱」を首長が定めることにしたのである。
また、従来は教育委員長は委員による互選で選ばれ、教育委員会事務局の長である教育長は委員の中から教育委員会が任命していた。それを、教育委員長職を廃止し、教育長を、教育委員会及び事務局の長の権限をもつ責任者として首長が直接任命することにした。
この拙速な「改革」の背景には橋下徹らポピュリズム的人気をもつ首長の存在がある。「ゆとり教育」を推進した元文部官僚による政治家の教育への不当な介入への批判の書。(青灯社 1600円+税)