認知症の親の「便秘」を解消させる具体的な方法は?

公開日: 更新日:

 便秘が続くと腹痛や腹部膨張感のほか、腸内環境のバランスが乱れて免疫力が低下しやすい。他にも、硬い便を出そうと排便時にいきむと、血圧が急上昇して心筋梗塞脳卒中を起こしやすくなります。実際、救急隊によると心肺停止の発生場所に多いのがトイレとされています。

 たかが便秘と思わず早めに対策を行う必要があります。便は熟したバナナの形と軟らかさが理想とされています。便が軟らかくなるよう食物繊維が多く含まれるオクラなどの野菜やワカメといった海藻類を積極的に食事に取り入れるといいでしょう。水分は一度に多く飲むと、そのまま胃で吸収されて尿として排出されます。こまめに飲むよう促してください。

 また、直腸は横から見ると“くの字”に曲がっています。排便する際はロダンの「考える人」の姿勢をすると、直腸と肛門が真っすぐになり便が出やすくなります。身長が低い人であれば、踏み台に両足を置くと座りが深くなるので、本人の足が床にしっかりとついているか確認し、必要であれば足を乗せてもらうようにしてください。

 近年は新しい便秘治療薬が承認され、今から10年前に発売されたアミティーザ(一般名:ルビプロストン)やグーフィス(一般名:エロビキシバット)、リンゼス(一般名:リナクロチド)など効き目が良く副作用が少ない薬が増えています。4~5日間排便がなければ、かかりつけ医に相談してください。

▽中島淳(なかじま・あつし) 1989年大阪大学医学部卒業、90年社会保険中央総合病院内科勤務、2014年横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授を経て、現在の横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室主任教授を務める。

最新の健康記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  2. 2
    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

  5. 5
    ロッテ佐々木朗希 日本では「虚弱体質」の烙印も…米球団むしろプラス評価でゾッコンの理由

    ロッテ佐々木朗希 日本では「虚弱体質」の烙印も…米球団むしろプラス評価でゾッコンの理由

  1. 6
    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

  2. 7
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  3. 8
    杉咲花&若葉竜也「親密報道」後も評価上昇 「アンメット」の演技にはゴシップを超える力がある

    杉咲花&若葉竜也「親密報道」後も評価上昇 「アンメット」の演技にはゴシップを超える力がある

  4. 9
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 10
    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見

    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見