エーザイ(下)レカネマブの売り上げ振るわず株価は低迷…待ち受ける業界再編の大波
エーザイの株価が冴えない。昨年来の株価は最高値が2023年6月の1万590円。以後はほぼ右肩下がり。8月2日に行った24年4~6月期の四半期決算では売上収益は1890億円で、前年同期比マイナス4%。23年10~12月期以来、3四半期連続でマイナス成長。株価が振るわないのもうなずけるというもの。
同社の内藤晴夫CEOは、22年にトップ就任から35年目の節目を迎えた際、今後は「次期候補薬のレカネマブに全集中させてほしい」と意気込みを語っていた。しかし、そのレカネマブ(製品名・レケンビ)は、昨年9月にアルツハイマー治療薬として国内の承認を得たものの、回収がおぼつかない。23年度にレケンビに投入した研究開発費と販売管理費は計約1100億円。ところが100億円をもくろんでいた売り上げが、23年度は約42億6000万円止まり。レケンビは同社にとって“虎の子”だったが、立ち上がりは遅いまま。先の四半期では63億円に増えてはいるが、決算数字を押し上げるまでの貢献には至っていない。先行き不透明感が漂うのも当然だ。
内藤CEOの後継と内外共に認められ、6月に常務執行役から代表執行役専務に昇進した長男の景介氏は「累計投与患者数は23年度末で400人、24年度末で7000人」との見通しを示し、今後に明るい含みを持たせたが、これにも死角が。米製薬大手のイーライリリーの同種の新薬の「ドナネマブ」の製造販売が、9月24日に国内で承認されたからだ。早くもライバル出現である。リリー社の23年度の売上高は341億ドル(約5兆3440億円)で、エーザイの7000億円台とはケタ違い。その分、販促網の構築・営業費にかけられる金額も大きい。