最期まで自分らしく生きる がんの緩和的放射線療法とは
おかげでこの患者は、余命宣告されて13カ月過ぎても生き続けたという。
60代で胃がんと診断され、手術後1年を迎えた男性は抗がん剤治療後に緩和的放射線治療を行っているという。
「この患者さんは帰省で1週間ほど治療が空いた間に閉塞性黄疸という全身が黄色くなってしまう症状に襲われました。ただちに放射線治療科病棟に入院して放射線治療をしながら、消化器内科と連携して胆道にステントをつくり、黄疸を軽減させました。結局、黄疸のマーカーであるビリルビン値は入院時15だったのが、放射線治療後には正常値の1までに下がりました」
また、他院で末期の腎臓がんと診断された会社経営者は放射線で痛みを取る治療を続けた結果、2年以上元気に過ごすことができたという。
「この方は温泉地で盛大に宴会を開くなど元気を取り戻しました。しかし、それで本人も家族も“治った”と勘違いしたため、会社の相続の手続きが遅れてしまったと聞きました」
他にも、肺がんで上大静脈症候群を発症、血液が顔や上腕から心臓に戻らなくなり、パンパンに腫れたままになった患者も緩和的放射線治療で救われるケースが多いという。