新型コロナウイルス感染症ではない「肺炎」の原因と治療は?
院内肺炎は、がんや心臓病などの疾病による免疫力の低下で発症するケースが多いです。手術で使用した人工呼吸器が原因で起こることもあります。
肺炎の診断は医師の診察や血液検査、細菌培養、胸部X線写真、胸部CTなどの結果を総合的に判断して行います。治療法は近年で大きく変わってはいません。病原体はすぐには特定できないため、効果がありそうな抗生物質をまず投与する経験的治療が基本です。
ウイルスなど細菌以外の原因が分かった場合、たとえばインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスには専用の抗ウイルス薬を使います。また、解熱剤や去痰剤などによる対症療法を行ったり、ステロイドというホルモン剤を投与したり、人工呼吸器や人工肺(エクモ)を使うこともあります。
ただし、新型コロナウイルスと同様に病原体はすぐに変異します。抗生物質を過剰に使用すると薬が効かなくなる「耐性菌」が増えてきます。いかに無駄な抗生物質の使用を減らし耐性菌の出現を防ぐかが、世界的な課題となっています。
高齢者で短期間に誤嚥(ごえん)による肺炎を繰り返したり、人工呼吸器などを使用しても回復の見込みがなかったりする場合は、ご家族と話し合い、患者さんに負担のかかる治療法は差し控える選択肢もあります。