「民主化する中国」丹羽宇一郎著
日中国交正常化50周年を迎えたが、両国に以前のような友好ムードはない。一方で、50年前は11億ドルほどだった両国の貿易額は昨年3914億ドルまで増加。いまや中国は日本の貿易相手国第1位となり、なくてはならない存在でもある。
本書は、尖閣国有化などで両国の国民感情が最悪だった時期に駐在大使を務めた著者による中国論。
習近平と十数回面会している著者によると、氏は口数少なく温和、弱者の気持ちを理解できる人物だという。なによりも14億人の国民のための政治を考えている数少ない指導者のひとりだと。
そんな氏の素顔を知る著者から見て、巷で危惧される台湾への武力侵攻の可能性をはじめ、今後の日台関係の行方や日米中関係など、多視点から日中関係の今と未来を考える。
(講談社 726円)