男性だけじゃない 女性にも“夜間勃起”と“朝立ち”がある
では、なぜヒトは朝立ちをするのでしょうか。それは健常であれば、一晩に3~5回、寝ている間に勃起する「夜間勃起」という生理現象が起きているからです。夜間の睡眠は「ノンレム睡眠(深い眠り)」と「レム睡眠(浅い眠り)」を交互に約90分周期で繰り返しています。夜間勃起はレム睡眠のときに起こります。睡眠の前半3時間は深い眠りが多く、後半になるにつれレム睡眠が増えてきます。朝目覚めるときはレム睡眠が多いので、その最後の夜間勃起を朝立ちとして自覚するのです。
では、夜間勃起は何のために起きているのかというと、生殖器を維持するメンテナンスです。睡眠中は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で脳や体の機能を回復させています。ペニスの筋肉や海綿体などの組織も、他の器官と同じで使っていないと衰えてきてしまいます。それで夜間に自動的に勃起が起こり、血管を拡張して酸素や栄養を送り、老廃物を排除するというメンテナンスが行われているのです。
ところが、糖尿病などで動脈硬化が進行し、血管が拡張しなくなると夜間勃起がなくなり、性的興奮があっても勃起しない「器質性ED」となります。それで朝立ちの有無が「健康のバロメーター」といわれるのです。
朝立ちがあるのに性交時に勃起しないようなら、精神的・心理的な問題で起こる「機能性(心因性)ED」が疑われます。